入社６か月が経過した頃から新入社員のやる気が感じられない…もしかしたら仕事が嫌になってきたのでは…と心配されている人事採用担当者様も多いのではいでしょうか？

会社の雰囲気にも、仕事にも慣れてきたはずなのに、なぜこのタイミングでモチベーションが低下してしまうのか？この問題に対し、多くのご担当者様が「仕事がきついから？」「拘束時間が長いから？」「人間関係が上手くいっていないから？」など働き方や人間関係に原因があると推測されます。

しかし、私が研修等を通じて新入社員にヒアリングをした結果、一番多かったモチベーションダウンの原因は「仕事がない（暇）」「仕事が簡単すぎる」等、働き方や人間関係とは別の場所にありました。なぜこのようなことが起こってしまうのか、また、それに対してどのような対策を行っていけばよいのか、について今回はご紹介させていただきたいと思います。

１．モチベーション低下の理由は”飽き”と”慣れ”

中小企業の場合、新入社員がモチベーションを低下させてしまう原因は、意外にも”飽き”と”慣れ”にあることが多いです。貴社でも新入社員の早期退職を防ぐため、仕事の量と質、責任の軽減を重視した結果、初めの数か月間、ほぼ何もさせていない状態が続いていないでしょうか。もちろんこの対策は早期退職防止に貢献する重要な対策ではありますが、その加減を間違えてしまうと逆にモチベーション低下を招いてしまいます。

職務特性モデル（ハックマン・オルダム）では、仕事のモチベーションを上げるために必要な要素として「技能多様性・タスク完結性・タスク重要性・自立性・フィードバック」を挙げています。これを私なりにまとめると「自分はそこそこ難易度が高くて、重要な仕事を任されている」と認識できることが仕事へのモチベーションになるということです。

この視点から考えれば、仕事の質や量、責任の重さを軽くするという早期退職対策は、逆に新入社員の仕事に対するモチベーションを奪ってしまう可能性があるということです。実際に私がヒアリングを行った新入社員からは「自分はいなくても問題ない」「暇な時間が多くてしんどい」などの意見が多数出ています。新入社員を大切にするあまり、逆にモチベーションを低下させていないか、教育担当者を交えて確認を行っていただければと思います。

２．業務フィードバックで自己成長を実感

とはいうもののいきなり質や量、責任の重い仕事を任せてしまうのもちょっと怖いですよね。ですので入社一か月目は今まで通り軽い仕事だけで構いません。ただし、２か月目に入るまでに必ず「業務フィードバック面談」を行ってください。このフィードバック面談の目的は、単純に業務の振り返りを行うのではなく、その期間の”成長”を実感してもらうことです。その期間に行ってきた業務内容、数量、業務に必要な知識やスキルを紙に書き可視化することで、成長を実感してもらうことができます。

【毎月フィードバック手順例】
①期間中携わった業務を細かく箇条書きにする
②①を行った回数を書き出す
③①を行う上で得たスキルや知識を書き出す
④教育担当者と一緒に”できたこと”を確認する
⑤キャパシティの残量確認

事前にパソコンなどで作成しておいてもらい、フィードバック面談の中で「これもやっていたね」「こんな知識もついたんじゃない」と成長部分を追加、強調してあげるとさらに成長を実感しやすくなると思います。最後に必ず、現在の仕事に対するキャパシティの状況確認を行ってください。論理的かつ明確な答えは必要なく、感覚的なパーセンテージで確認する程度で足ります。例えば「80％くらいですかね。もう少し余裕はあります」これを基に次の目標設定に移っていきます。

３．目標設定で自律性を高める

自律性を高めるため、目標を新入社員自ら決めてもらう…のはまだ早いです。仕事の全体像が見えていない新入社員に目標を決めさせると、的外れな目標や高すぎる目標が出てきてしまいます。こちらから「自分で決めて」といった以上、これを否定することもできません。ですので、入社６か月間くらいは、上司や教育担当者が目標を設定してあげてください。

例えば…
今の仕事量で余裕があるのなら、来月は〇〇を増やしましょう。ちょっと物足りないと感じる場合は、現在やっている仕事の質とスピードを上げるよう意識してください。そうすればもっと余裕が出てくるので、来月にはもっとレベルの高い△△に挑戦できるようになりますよ。

目標設定については、ゲームをクリアしていくようなイメージで設定するとモチベーションが上がりやすくなります。

仕事の質や量、責任の重さは仕事に対するモチベーションに大きくかかわってきます。新入社員にとって、必ずしもそれらが少ない方が良いというわけではありません。定期的な業務フィードバック面談と目標設定を行うことで、成長を実感させ、また次の目標クリアが楽しみになるよう調整してあげてください。

ご相談などございましたら、小さなことでもお気軽にお問い合わせください。

■新入社員　入社６か月研修の様子