「営業職の新入社員に対する営業研修って何をされてますか？」
皆様の中にも他社がどのような取り組みをしているのか、気になる方も多いのではないでしょうか。ちなみに私のクライアント先で確認してみたところ、一番多かった回答は”同行営業”でした。とりあえず先輩の営業に同行して「見て、感じて、営業を学びなさい」スタイルです。このやり方がベターではないとご担当者様も思っておられるのですが、「時間がない」「教える人材もいない」という理由でなかなか教育改善が進まず現状維持を続けている状況です。少数派ではありますが同行営業に加えて”営業ロールプレイ”を導入されている企業様もありました。事前に同行営業先を想定し、先輩社員と新入社員で模擬営業を行い、その後、実際の営業先に向かうというものです。すごく良い取り組みだと思うのですが、ご担当者様からは「ちょっと違う感じがする」「ちょっと物足りない」ので何か改善策が欲しいというご相談をいただいております。そこで今回は入社1～2年目の営業職社員に対する教育研修のポイントについてご紹介させていただきます。

１．営業ロールプレイだけじゃ足りない理由

知り合いのトップ営業マンに「どうやったら売れるんですか？」って聞いてみたところ、「営業先の規模や状況、ご担当者様によってもアプローチが異なるので”答えはない”」という答えが返ってきました。つまり「営業活動＝答えの無い問題」ということです。例えば「オンライン営業or対面営業」「スーツorカジュアル」「雑談中心or本題中心」どちらが正解なのかといわれると何とも言えないですよね。つまり、営業マンは状況に合わせた臨機応変な対応（選択）を求められているということです。

営業ロールプレイは絶対にやった方が良い取り組みですが、あくまで対処療法となりますので臨機応変さを養うトレーニングとしては不十分です。限定的なシチュエーションの中で模擬営業を行っていくため、異なるパターンが発生した場合、その効果が発揮できない可能性があります。

ある企業様の例では、新入社員が１回行った営業ロールプレイの内容をすべてのお客様で実践してしまい、多くのミスマッチを起こしてしまったというケースもあります。ロールプレイを実施されている企業様が「何か物足りない」と感じられている部分は”臨機応変さ”ではないかと思います。

２．フェルミ推定というサプリメント

つまり営業ロープレではカバーしきれない”臨機応変さ”を養うトレーニングを加えて行う必要があるということです。そこでお勧めしたいのが「フェルミ推定」です。限られた情報から答えを推測する力のことで、近年では日本のコンサルティングファーム等でも採用試験に取り入れられています。

例えば「京都市にあるマンホールの数は？」という問題が出された場合、皆さんならどのように答えを導き出しますか？例えば、人口や道の長さ、交差点の数などを推測してそこからおおよその数を考えてみる。しかし、ここで出された答えは正解ではありません。あくまで推測・仮説の範囲のものです。

今は問題をスマホで検索すれば答えが出てくる時代なので、推測する、仮説を立てる作業が明らかに減少しています。しかし「営業活動＝答えの無い問題」なので、自分なりの答え（仮説）を準備する必要があります。だからこそ、フェルミ推定で答えの無い問題に対し、推測、仮説を立てる練習を行っていくことをお勧めしています。

３．実際の導入方法

フェルミ推定を取り込んだ営業指導の方法について簡単にご提案させていただきます。仮説を立てる上で大切なことは、元となる情報です。これが間違っていると答えも間違った方向へ進んでしまします。ですので、新人営業マンに対しては、3C分析を使うことをお勧めしています。顧客・市場、競合、自社に分けて情報収集をしてもらうようにしましょう。

①顧客のニーズを市況等から推測
②①に対して競合が何を提案しているのか推測
③①②から自社が何を提案すれば勝てるのか仮説を立てる

経験のある営業マンならこれを当然のように行い営業に挑んでいるのですが、新入社員はここからトレーニングを行う必要があります。これを飛ばして営業ロープレを行ってしまうと形だけを覚えてしまい、中身のない営業活動になってしまいます。

４．まとめ

新人営業マンの営業力を上げるための営業ロープレは必須ですが、画一的な営業手法だけを覚えさせてしまうと融通が利かなくなってしまいます。「営業活動＝答えの無い問題」に挑むためには、自分で考え行動できる営業マンの育成が必要となるので、ぜひフェルミ推定を取り入れ、推論する、仮説を立てる練習を行ってみてください。やり方を知りたい等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

５．YouTubeはじめました。

ブログの内容よりも少しだけ詳しく説明しています。
まだ、誰にも見られてませんが(笑)。