人手不足なのに人が辞めない会社は、最初の3日間で何を教えているのか?
- アルバイト
- 中途採用
- 人材派遣
- 教育研修
- 新卒採用

「求人を出しても応募が来ない。」
「採用してもすぐ辞める。」
「店長や社員ばかりに負担が集中している。」
人手不足が深刻化する中、多くの企業がこのような悩みを抱えています。
しかし一方で、
- 求人募集をすると応募が集まる
- 入社したスタッフが長く定着する
- ベテランが新人を育てる文化がある
- お客様から選ばれ続ける
- 店長が不在でも現場が回る
そんな会社が存在するのも事実です。
この違いは何でしょうか。
給料でしょうか。
福利厚生でしょうか。
もちろんそれらも大切です。
しかし私たちが人材派遣や採用支援の現場で数多くの企業を見てきた中で感じるのは、
「新人教育の最初に何を伝えているか」
が大きく影響しているということです。
特に人手不足の時代だからこそ、最初に伝えるべきことがあります。
それは仕事内容ではなく、理念や想いです。
目次
人手不足が進むほど「効率的な教育」に偏りやすくなる
近年、スキマバイトや単発バイト市場は急速に拡大しています。
人手不足に悩む現場では、
- 急な欠員対応
- 繁忙期対策
- シフト不足の補填
として活用するケースが増えています。
その結果、多くの企業が
「初めて来た人でもすぐできる仕事」
を作るようになりました。
例えば、
- 清掃業務を切り出す
- 品出し業務を分業化する
- レジ業務を簡略化する
- マニュアルを整備する
などです。
これは非常に合理的な考え方です。
実際に人手不足解消にも役立ちます。
しかし、この成功体験が別の問題を生むことがあります。
それは、
正社員や長期アルバイトの教育まで効率化してしまうことです。
会社の未来を担う人材まで「作業者」にしていませんか?
スキマバイトに求められるのは、
「決められた仕事をミスなく行うこと」
です。
一方で、
正社員や長期スタッフに求められるのは、
「会社の考え方を理解し、自ら判断できること」
です。
役割が違うのです。
ところが人手不足が続くと、
- 早く戦力になってほしい
- 研修期間を短くしたい
- 教育コストを抑えたい
という考えが強くなります。
その結果、
「まず仕事を覚えて」
「まず手を動かして」
という教育になりがちです。
確かに仕事は早く覚えられるかもしれません。
しかし、人は育つでしょうか。
初期教育で重要なのは業務よりマインド
新人教育でよくある議論があります。
「まず仕事を教えるべきか」
それとも
「会社の考え方を教えるべきか」
という問題です。
多くの企業は前者を選びます。
なぜなら仕事を覚えなければ現場が回らないからです。
しかし仕事は時間とともに覚えます。
一方で、
- なぜこの仕事をするのか
- お客様にどんな価値を提供するのか
- 何を大切にして働くのか
は最初に伝えなければ伝わりません。
能力より先に方向性を教える
仮に非常に能力の高い人材が入社したとします。
しかし、その能力を間違った方向に使ったらどうなるでしょうか。
例えば、
- 効率よく仕事をサボる
- クレームにならない範囲で手を抜く
- お客様満足より自分の楽さを優先する
- 仲間への協力より個人の利益を優先する
こうした行動も能力があるからこそできてしまいます。
つまり問題は能力ではありません。
方向性です。
理念や想いは車でいうハンドルです。
能力はエンジンです。
どれだけ高性能なエンジンを積んでいても、向かう方向を間違えれば事故を起こします。
だからこそ最初に方向性を教える必要があるのです。
人が辞めない会社は「仕事」より先に「意味」を教えている
厚生労働省の調査では、若年層の離職理由として
- 人間関係
- 仕事内容とのギャップ
- 会社との価値観の不一致
が上位に挙がっています。
また海外の従業員エンゲージメント調査でも、
会社の理念や目的に共感している従業員ほど、
- 定着率が高い
- 生産性が高い
- 顧客満足度が高い
という傾向が確認されています。
人は給料だけで働いているわけではありません。
「この会社で働く意味」
を感じられるかどうかが重要なのです。
入社直後は人生で最も教育効果が高いタイミング
入社したばかりのスタッフは、
期待と不安でいっぱいです。
- どんな会社なんだろう
- どんな人がいるんだろう
- 自分は活躍できるだろうか
だからこそ話を聞こうとします。
吸収しようとします。
ところがこのタイミングで、
「忙しいからまず仕事を覚えて」
「現場は甘くないから」
「とりあえず見て覚えて」
だけを伝えたらどうでしょうか。
その会社を好きになれるでしょうか。
その仕事を誇りに思えるでしょうか。
初期教育で必要なのは「きれいごと」
現場経験が長い管理職ほど、
理念や想いを語ることに抵抗を感じることがあります。
現実はそんなに甘くない。
理想だけでは現場は回らない。
そう感じるのも当然です。
しかし新人教育においては、
むしろその「きれいごと」が重要です。
- 私たちはどんな未来を作りたいのか
- お客様が笑顔になった時どんな価値が生まれるのか
- なぜこの仕事が社会に必要なのか
- どんな仲間と働きたいのか
こうした話をたくさんしてあげてください。
新人は仕事を探しているのではありません。
安心して働ける場所を探しているのです。
おすすめの初期教育の流れ
私たちが企業様へご提案する際は、次の順番をおすすめしています。
①会社の理念や想いを伝える
会社が存在する理由を説明する。
②感動エピソードを共有する
お客様やスタッフとの印象的なエピソードを伝える。
③業務内容を説明する
仕事内容やルールを理解してもらう。
④理念と業務を結びつける
なぜその業務を行うのかを説明する。
例えば、
「レジを正確に打つ」
ではなく、
「お客様に安心して買い物していただくため」
という目的まで伝えるのです。
まとめ|人が育つ会社は最初にマインドを教えている
人手不足の時代だからこそ、教育の効率化は必要です。
しかし、会社の未来を担う人材まで効率化だけで育てることはできません。
仕事のやり方は後から覚えられます。
しかし、
仕事への向き合い方
お客様への姿勢
仲間との関わり方
会社の価値観
は最初に教えなければ伝わりません。
人が辞めない会社は、
仕事を教える前に「なぜ働くのか」を教えています。
もしあなたが、
「人が辞めない職場を作りたい」
「お客様から選ばれる会社にしたい」
「未来を担う人材を育てたい」
そう考えるのであれば、
まずは新人教育の最初の3日間を見直してみてください。
人材育成は、業務教育ではなく“方向づけ”から始まります。