優秀な人を採ったのに人が辞める会社
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目次
採用失敗の原因は「能力」ではなく「感情」かもしれません
人手不足が続く中、多くの企業がこう考えています。
「できるだけ優秀な人材を採用したい」
当然の考えです。
経験豊富で能力が高く、人柄も良い。
そんな人材が入社すれば、
・業務品質が向上する
・既存スタッフへの刺激になる
・会社全体の生産性が上がる
そう期待するのは自然なことです。
しかし実際の現場では、
「優秀な人材を採用したのに既存スタッフが辞めた」
「さらに採用した本人も辞めてしまった」
というケースが少なくありません。
結果として、人材不足がさらに深刻化してしまうこともあります。
問題を起こしたわけではないのに組織が崩れる
このようなケースで採用した人材は、決して問題社員ではありません。
むしろ、
・礼儀正しい
・仕事ができる
・周囲との関係も良好
という場合がほとんどです。
本人も組織に馴染もうと努力しており、表面的には何も問題がないように見えます。
それでも組織のバランスは崩れていく…
なぜでしょうか。
理由はシンプルです。
会社が「論理」だけで採用を考え、
現場の「感情」を見落としているからです。
経営者は能力を見る
現場は未来を見る
経営者や採用担当者は、
「この人が入れば戦力が上がる」
という視点で採用を考えます。
これは極めて合理的です。
プロスポーツチームでも優秀な選手を獲得すれば戦力は向上します。
しかし中小企業では、必ずしも同じようにはいきません。
なぜなら、
中小企業には控え選手という概念が存在しないからです。
中小企業のポジションは限られている
例えば、
20代
30代
40代
50代
の4人で構成されている部署があったとします。
そこへ30代のハイクラス人材を採用しました。
会社としては、
「将来的にはリーダー候補」
「管理職候補」
として期待しているかもしれません。
しかし既存スタッフはどう感じるでしょうか。
頭では理解できます。
会社にとって必要な採用だったことも分かるでしょう。
しかし感情は別です。
人は論理より先に感情で反応する
既存スタッフからすると、
「自分の方が長く会社に貢献してきた」
「自分も次の役職を目指していた」
「なぜ後から入った人が上になるのか」
という感情が生まれます。
これはわがままではありません。
ごく自然な心理です。
実際に米国の心理学者ジョン・アダムスの「公平性理論」でも、人は自分の努力や貢献に対して不公平感を持つとモチベーションが低下するとされています。
つまり、
会社が正しい採用をしたとしても、
現場が納得しているとは限らないのです。
昇進ルートを奪われたと感じた瞬間に人は離れる
特に中小企業では、
管理職
主任
リーダー
といったポストの数が限られています。
大企業のように、
「まず係長になって、その後課長へ」
という複数の昇進ルートを用意できません。
そのため、
既存スタッフが目指していたポジションに新規採用者が入ると、
「自分の順番はもう来ない」
と感じやすくなります。
そして人は給与よりも、
「将来の期待がなくなった時」
に離職を考え始めます。
採用成功とは能力の高い人を採ることではない
私たちが多くの企業を見てきた中で感じるのは、
採用成功とは、
単純に優秀な人材を採用することではないということです。
本当に重要なのは、
新しく入る人と既存スタッフの未来を両立させること。
つまり、
「誰を採るか」
だけではなく、
「既存社員がどう感じるか」
まで設計することです。
採用は募集ではなく設計
採用がうまくいかない企業ほど、
求人条件や採用手法ばかりに目が向きます。
しかし実際には、
採用後の組織設計の方が重要です。
・既存スタッフのキャリアパスは明確か
・新規採用者の役割は整理されているか
・昇進や評価の基準は共有されているか
・既存社員が不公平感を抱かない仕組みになっているか
これらを整理せずに採用だけを強化すると、
採用成功が離職増加につながることもあります。
まとめ
優秀な人材を採用したのに組織が崩れる。
その原因は能力不足でも人間関係でもなく、
「感情の設計不足」であることが少なくありません。
人は論理で理解し、
感情で行動します。
だからこそ採用は、
「誰を採るか」
だけではなく、
「既存社員がどう受け止めるか」
まで考えて設計する必要があります。
採用市場が厳しくなるこれからの時代。
採用力だけではなく、
組織全体を見据えた採用設計がますます重要になっていくでしょう。