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中途採用失敗事例!スキルよりチームの”序列”が大事!

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中途採用は「条件さえ合えば、それほど採用難易度は高くない」とお考えの経営者様・人事採用担当者様は多いと思いますが、実際のところそうでもありません。

ある大手人材紹介会社のデータによれば、
人材紹介の決定率は3~5%とかなり低い確率となっており、中途採用のマッチングの難しさを物語っています。

そんな中途採用の中でも特にマッチング率が低いのは
”欠員補充採用”です。

まず、中途採用を大きく分けると

〇欠員補充採用 ⇒ 退職等による欠員の補充
〇拡大増員採用 ⇒ 新たな部署や事業所の立ち上げなど企業規模拡大に伴う新規採用

に分けることができます。
このうち特に”欠員補充採用”のマッチング率は良くありません。
その理由は2つあります。

【理由①】
 ”前任者の存在”

〇欠員補充採用 ⇒ 前任者”あり”
〇拡大増員採用 ⇒ 前任者”なし”

拡大増員採用の場合、新規人材の採用となるので原則前任者は存在しません。そのため、採用担当者は会社が求める”人材像=存在しない人物”と応募者を比較することになります。しかし、欠員補充採用の場合「前任者の代わり」となるため、どうしても”前任者=存在する人物”との比較をしてしまいます。
実在する人物との比較を行ってしまうと、本来必要な選考基準以外の要素が多数入ってしまい、どうしてもマッチング率が低くなる傾向にあります(世の中に同じ人は存在しないですからね)。
このように前任者を前提とする選考を行ってしまうと人材補充が上手くいかないので注意が必要です。

【理由②】
 チームの”序列”

〇欠員補充採用 ⇒ チームの序列が完成している
〇拡大増員採用 ⇒ チームの序列は未完成

中途採用は、能力(スキル・経験・実績)を中心に選考を進めるのが一般的です。
では、前任者よりも能力の高い人材が選考に現れたらどうされますか?
人柄も問題なく、年収や役職もこちらの提示内容で了承してくれています。

セオリー通りなら即採用ですよね。
しかし、現在ある”チームの序列”を考慮せず、安易に採用してしまうと早期退職や既存スタッフの新たな退職を招いてしまうことになるので注意が必要です。

そこで今回は、チームの序列を無視して能力採用をしてしまった企業の失敗事例をご紹介させていただきます。

1.求める人材像

では今回は、従業員300名規模のA社経理部スタッフの採用事例をご紹介します。
欠員補充採用を行う前のチーム構成は以下の通りです。

【チーム構成】
 ・60代 部長
 ・40代 係長
 ・30代 主任 ⇒ 退職
 ・30代 一般社員

この企業の経理部には4名が在籍しており、実務の取り仕切りは係長が行っています。
チームのうち30代主任が退職することになり、同等の能力レベルの人材を募集することになりました。
選考は部長と社長が行います。

2.新チームの空中分解

応募者の中に能力(スキル・経験・知識)が係長クラスで年齢も30代と若い人材がおり、採用時の待遇もA社の主任クラスで承諾してくれたため、採用を決定しました。
その結果、経理部のチーム編成は以前の状態に戻りました。

【新チーム構成】
 ・60代 部長
 ・40代 係長
 ・30代 主任 ⇒ 中途採用
 ・30代 一般社員

しかし、欠員補充採用が6か月後「中途採用で入った主任」と「既存の一般社員」の2名退職を招く最悪の結果となってしまいました。
いったい何が起こってしまったのでしょうか?
中途社員入社後のそれぞれの感情を考えてみましょう。

【中途社員の気持ち】
 ・早く自分の居場所を確保したい
 ・早くキャリアアップしたい

【既存の係長の気持ち】
 ・会社は自分より中途社員の能力に期待している
 ・追い抜かれるかもしれない

【既存の一般社員の気持ち】
 ・会社は自分を評価していない
 ・この会社での自分のキャリアはない

それぞれの立場に立って考えてみればごく自然なことですよね。
「上下の既存社員に刺激を与えたい」という意図での採用であれば思惑通りの結果が出せると思います。しかし、欠員補充採用の場合「チームを元の状態に戻したい」が一番の目的となるので、狙いとは別の結果が出るのは当然です。
結局、人間関係が保てず2~3か月後にはチームはバランスを崩し、空中分解してしまいました。

3.チームの序列の重要性

会社(経営陣・管理者)としては「早く元の状態に戻したい」と考えていて、期待以上の人材が現れたら採用したいと思う気持ちはよく理解できます。
しかし、欠員補充採用の場合、すでにチームの序列が完成しているので、それを無視した人員補充は人間関係を悪くしてしまう可能性があり注意が必要です。今回の場合、チームのバランスを上手く保つためには以下のような採用が適切だったと思います。

【新チーム構成】
 ・60代 部長
 ・40代 係長
 ・30代 一般社員
 ・20代 一般社員

いかがでしょうか?
中途採用は採用する人材だけでなく、既存社員の気持ちまでしっかりと考え採用することをお勧めいたします。

ちなみに事例のA社は新規社員を2名補充することになり、通常業務に戻るまでに1年間を要してしまいました。

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